グーグルは、社会的な活動にVRを使用する「Daydream Impact」プログラムを試験運用しています。このプログラムは、NPOなどの社会的な活動を行う組織のVRコンテンツ制作を支援することで、活用の促進を狙いとしています。
VRは、社会でおきていることを臨場感豊かに伝えるツールとしてジャーナリズムなどの分野でも活用され始めています。しかし、制作にあたっては動画などとは異なる制作方法が必要となり、制作のハードルが高い状況があります。
こうしたハードルを下げるためにグーグルはDaydream Impactを開始しました。このプログラムではすでに試験運用が始まっており、制作された360度動画はすでにYouTubeで公開されています。
2つの要素で構成されるDaydream Impact
Daydream Impactプログラムは2つの主要な要素で構成されています。
1つ目はCourseraと呼ばれる無料のオンライントレーニングコースです。VRコンテンツの作成方法を共有するためにオンラインで入手できます。
このコースを通じて、基本的なハードウェア要件と開発前におさえておくべきチェックリストの概要を把握します。他のコンテンツ制作者からのヒント、提案、ベストプラクティスといった情報も提供し、効果的な360度映像を撮影する方法を紹介します。ビデオを制作するために必要なポストプロダクション作業と、ビデオの公開方法およびプロモーション方法に関するガイダンスもトレーニングで学ぶことができます。
プログラムの2つ目の要素は、撮影機器などの貸与プログラムです。Jumpと呼ばれるグーグルが提供する360度カメラ一式、Expeditionsキット(タブレット[教師用]、携帯電話、VRビューアー、ルーター、充電器、ストレージケースを含む)、Daydream Viewヘッドセット、Daydreamに対応しているスマートフォンなどが含まれます。
ここからは、いくつかの事例を紹介します。
The Rising Seas Project
カリフォルニア州ロサンゼルスの冬と夏の間、通常の満潮と非常に高い潮を記録し、この作品では沿岸環境の変化と潮の上昇による影響を示しています。
Harmony Labs
Harmony Labsによる作品『Stand Up』では、学内でいじめに立ち向かう様子が描かれています。
東部コンゴ・イニシアチブのマネージングディレクターであるDane Erickson氏は、「プログラムの助けなしにVRコンテンツを作成するのに必要な設備を手に入れることができない状況にあった」と述べています。
グーグルは、今後のプロジェクトやケースとして、国際赤十字委員会、スターライト・チャイルド基金などから成果が発表されるとしています。
VRを活用した社会的活動の支援は、フェイスブック傘下のOculus社も2016年から「VR for Good」というプロジェクトを推進しています。
(参考)
Google’s Daydream Impact Project Aims to Bolster Philanthropic Efforts With VR/ROADTOVR(英語)
https://www.roadtovr.com/google-daydream-impact-project-bolster-philanthropic-efforts-with-vr/