GoogleのR&D部門「Google ATAP(Advanced Technology and Projects)」制作の360度VRアニメーション作品『Pearl』がYouTubeで公開されました。
GogleのR&D部門とオスカー監督のパトリック・オズボーンがタッグ
『Pearl』は約6分間の短編アニメ映画です。舞台は全て自動車(83年製セダン)の中で、カメラは助手席(アメリカなので右側)に固定されています。ストーリーは、主人公の父と娘の成長と関係性の変化を記録映画のような形で見守るというもの。
自由に視点を動かすことができ、Google Cardboardやハコスコなどの簡易型HMDとYouTubeアプリを使えば、ブラウザから見るよりも没入感のある体験ができます。
『Pearl』を制作したのはGoogle ATAPの中にある360度映像作品を制作するプロジェクトチーム「Google Spotlight Stories」。そして監督を務めるのはオスカーを受賞したこともあるパトリック・オズボーンです。
パトリック・オズボーンは、ディズニーの多くの3DCGアニメ作品でアニメーターとして携わり(『ボルト』『シュガー・ラッシュ』『ベイマックス』『ズートピア』など多数)、『ベイマックス』と同時上映された初監督作品『愛犬とごちそう』でアカデミー短編アニメ賞を受賞しています。
監督のパトリック・オズボーンがGoogle I/Oでスピーチしたように、『Pearl』はロードムービーと言える作品内容となっています。作品中にセリフはほとんど無く、オリジナルの劇中歌『No Wrong Way Home』がアニメのシーンに合わせて流れる、ミュージカルや米国映画『イージー・ライダー』のような演出がされています。
父は毎日を車で旅するミュージシャンで、幼い娘と一緒に歌いながらドライブするなど仲の良い関係
娘は成長し、車内で父がかける音楽とは違うものをヘッドホンで聴くようになる
自分で運転できる頃になると、自分の友人を連れてドライブをするように。後ろのパトカーに捕まる
娘が父親を車で迎えに行く場面。娘の外見はだいぶ変化しているが、父とは良好な関係に戻る
車内シーンのラフ。登場人物、車窓とサンルーフから見える外の景色とカメラに映る範囲を表しています
自動車内という狭いスペースの中で、時間が経つことで生じる父と娘の関係性と外面的な変化、ドライブによって変わる外の景色や季節を表現するなど(道路沿いの町並みがほとんど変わらないところも米国のロードムービー色がちゃんと出ています)、視聴者は車内から辺りを見回したくなる物語となっています。『Pearl』は純粋に映像作品やコンテンツとしても良質で、おススメできるVRアニメーション作品です。