目の動きを認識できるVRHMD「FOVE」(FOVE 0)とは

2016年11月3日より、日本を含む29ヶ国向けへの先行予約が開始された視線追跡型VRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)「FOVE 0」。(配送開始は2017年1月予定)

このVRHMDの最大の特徴は、着用者の視線と瞬きを認識できることです。事前に目の動きを登録(キャリブレーション)することで、頭の動きだけでなく、目の動きでVRのポインタなどを操作することが可能になります。

この視線認識機能によって、VRゲームなどのエンタテインメントコンテンツのみならず、さまざまな用途に使用できることが期待されています。

FOVE 0
VRのキャラクターと視線を合わせることで、コミュニケーションができる

FOVE 0
シューティングゲームでは、目線で照準を合わせて敵を攻撃することもできる

そこで今回Mogura VRでは、FOVE 0に関する情報をまとめました。FOVE 0の価格や発売日・製品仕様、具体的な体験を交えたFOVE 0のVR体験、そして発売までの経緯について紹介します。

「FOVE 0」の価格・発売日・予約方法
「FOVE 0」でどんなVR体験ができるのか
「FOVE 0」製品仕様
「FOVE 0」発売までの経緯

「FOVE 0」の価格・発売日・予約方法

「FOVE 0」の先行予約の価格は599ドル(約62,000円)となっています。先行予約開始から1週間の期間は50ドル割引の特別価格549ドル(約57,000円)にて販売されます。配送開始は2017年1月を予定しているとのこと。

先行予約はFOVE 0の公式サイトにて行うことができます。

「FOVE 0」でどんな体験ができるのか

まずは、実際の体験を交えたFOVE 0のVR体験について紹介します。東京ゲームショー2016(TGS)では、視線追跡を活かしたデモゲームを実際に体験することができました。

その中から3作品を紹介します。

「ProjectFalcon(プロジェクトファルコン)」

FOVE 0

視線追跡を利用したファーストパーソン・シューティング(一人称視点シューティング)ゲームです。視線追跡技術を用いて、見るだけで素早く敵をロックオンするなど、直感的な操作が可能に。ロボットアニメにあるような、眼球を動かして複数のターゲットを一気にロックオンすることができます。視線追跡をコントローラーとしての使う例として展示されました。

「Judgement(ジャッジメント)」

FOVE 0

表示される選択肢を意識的に選ぶのではなく、プレイ中に注目した物や場所によりストーリーが自然に分岐していく脱出系ゲームです。監禁された状態からスタートし、尋問をくぐり抜けどのようなエンディングになるかはプレーヤーの行動次第。視線追跡を用いてプレイヤーの感情を読み取りストリーが分岐していく新しいコンテンツ例として展示されました。

「Functions(ファンクションズ)」

FOVE 0

目の動きによるキャラクター操作や、目の開閉による演出変化など、視線追跡技術を活用したミニゲーム集です。目の動作(開閉、注視など)による操作および演出変化の具体例として展示されました。

その中でも転がり落ちるボールを導いていくパズルゲーム「Rainball(レインボール)」は印象的でした。ステージでは、目を閉じている間だけギミックが出現したりするなど目の開閉がトリガーになって、ああでもないこうでもないとプレイしていきます。

目がつぶっている間のボールの動きは音が教えてくれるなど、遊んでいて気持ちの良い体験になるよう配慮されていました。

『ソードアート・オンライン』アスナと交流できるツール

TGSに出展されたデモゲーム以外には、2017年2月18日(土)に放映予定となる、川原礫氏の小説を原作とするアニメーション映画『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』とのコラボレーションが発表されています。同作キャラクター「アスナ」とのアイコンタクトを楽しみつつ、FOVEコンテンツの解説を受けることができるコンテンツセレクターが開発中となっています。

FOVE 0

コンテンツセレクターは、選択したFOVEのコンテンツをアスナが解説してくれるだけでなく、ユーザーの視線に応じてアスナが反応する「アイコミュニケーション」が特徴。「アスナを見つめていると照れる」「コンテンツ説明中によそ見をすると怒る」など、視線追跡技術を活用することで、キャラクターと同じ空間にいるかのようにコミュニケーションを楽しむことが可能とのことです。

コンテンツセレクター配信開始のタイミングはFOVE公式サイト(日韓限定配信)での配信を2017年1月より、提携インターネットカフェでの配信を2017年2月より予定しているとのことです。

「FOVE 0」の製品仕様

次に、FOVE 0の具体的な製品スペック、最低動作環境、2016年11月3日からの先行予約における発送可能国を紹介します。

ディスプレイ

WQHD OLED (2560 x 1440)

フレームレート

70Hz

視野角

90°〜 100°

トラッキングセンサー

オリエンテーショントラッキング,ポジショントラッキング

アイトラッキングセンサー

120fps 赤外線アイトラッキングシステム x2, 精度1°以下

本体重量

520g

接続端子

HDMI 1.4 / USB 3.0 / USB 2.0

同梱物

ポジショントラッキングカメラ / 交換用フェイスクッション

最低動作環境

オペレーティングシステム

Windows 8.1 64-bit, Windows 10 64-bit 以上

CPU

Intel Core i5-4590 以上

GPU

NVIDIA GeForce GTX 970 / AMD Radeon R9 290 以上

メモリー

8GB 以上

インターフェイス

HDMI 1.4 / USB 3.0 / USB 2.0 x2

11月3日からの先行予約による FOVE 0 発送可能国

以下の29ヶ国になります。

オーストラリア
オーストリア
ベルギー
ブルガリア
カナダ
中国
チェコ共和国
デンマーク
フィンランド
フランス
ドイツ
ギリシャ
ハンガリー
アイルランド
イタリア
日本
ルクセンブルク
オランダ
ニュージーランド
ノルウェー
ポーランド
ポルトガル
韓国
スペイン
スウェーデン
スイス
台湾
英国
米国

「FOVE 0」発売までの経緯

ここからは、FOVE 0発売までの経緯を紹介します。

FOVE 0の開発元

FOVE 0の開発は、日本を拠点とするFOVE社により行われています。ソニー・インタラクティブエンタテインメントにてゲーム開発に携わっていた共同創業者・CEOの小島由香氏と、顔認識の専門家である共同創業者・CTOのロックラン・ウィルソン氏により創業されました。創業者2名の下、FOVE 0の開発が行われています。
FOVE 0

クラウドファンディング目標金額を3日経たずに達成

2015年5月19日、当時は「FOVE」という名称で、クラウドファンディングプラットフォーム「Kickstarter」にて開発資金の調達を開始。目標金額は25万ドル(当時:約3,000万円)、2015年6月4日までのキャンペーンとなっていました。

設定された約2週間ほどの期間に対して、3日経たずに目標金額を達成。最終的には48万ドル(当時:約5,800万円)を調達。その時点での出資者への出荷は、2016年春を予定していました。

クラウドファンディング達成後の2015年6月25日には、サムスン傘下のサムスン・ベンチャーズから資金調達を実施。この資金調達により、位置トラッキングにも正式対応することを決定しました。

日韓での展開

2016年2月4日、FOVEはインターネットカフェ等を運営する株式会社テクノブラッドとのパートナーシップを締結。同年9月には子会社テクノブラッドコリアとも締結を行います。

FOVEとテクノブラッドはこの提携により、日韓合計約7,000店舗のネットカフェにFOVE 0を無償で提供することで、月間約2,500万人のユーザーにアプローチできるVRコンテンツの体験プラットフォームを構築していくと発表しました。

FOVE 0

ロードマップと位置トラッキングシステムの変更

2016年2月20日、Kickstarterの出資者に向け、2016年春に予定していた出荷を秋に遅らせること、そして位置トラッキングの仕組みであるLighthouseシステムへの統合を見送ることなどを発表します。

Lighthouseシステムは、HTC社の展開するVRHMD「HTC Vive」にも採用されており、最大で対角線5メートル四方の範囲を対象とした、高精度な位置トラッキングを実現する機構です。FOVEは将来的にはLighthouseに対応する可能性はあるとしながらも、FOVEオリジナルの光学式トラッキングシステムを導入すると発表しました。東京ゲームショウなどで展示された際は、Razer社が主導するOSVRのトラッキング用カメラを使用しています。

FOVE 0
2016年2月20日に公開した新たなロードマップでは、2016年11月を出荷予定とした

ファンドからの資金調達

2016年3月23日、FOVEはColopl VR Fundをリードインベスターとした総額1,100万ドル(12.3億円)の資金調達を実施しました。今回のシリーズAラウンド投資ではColopl VR Fundの他に、鴻海(ホンハイ)ベンチャーキャピタルファンドである2020、そしてサムスン・ベンチャーインベストメントが参加しています。

資金調達の目的としては、製品版「FOVE 0」量産の加速、R&D体制の強化、視線追跡機能を活用したVRコンテンツ拡充を目的にしていると発表されました。

東京ゲームショウでのデモ出展

2016年7月から9月にかけては、FOVE 0の最新デザインの発表、そして東京ゲームショー2016での、視線追跡を活かした新規デモゲーム3作品の展示が行われました。展示では、これまでに公表されていたホワイトバージョンのカラーバリエーションに加え、ブラックバージョンのモデルも展示されました。

FOVE 0

一般向け販売へ

2016年9月15日には、正式名称を現在の「FOVE 0」に決定。「仮想世界で広がる人と人とのつながり」といったコンセプトも提唱され、予約開始日も決定。イメージビデオの公開も行われます。

https://www.youtube.com/watch?v=mFh2_6olco8

合わせて、シリコンスタジオ社のVR向けゲームエンジン「Xenko」を公式サポートすることも発表しました。Xenkoは、シリコンスタジオの開発した.NET、C#ゲームエンジンであり、VRに適した開発環境となっています。

そして、2016年11月3日に先行予約が開始されました。配送開始は2017年1月を予定しています。今後、FOVE 0の視線認識を活かしたVRコンテンツの出現が期待されるところです。

視線追跡が可能なVRのヘッドセット「FOVE」に関する他の情報はこちら

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