VRで生まれる人とのつながり。FacebookとOculusが目指すソーシャル・プレゼンスとは。

Facebookは、4月12,13日の2日間開発者会議F8を開催しました。初日の基調講演では、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が10年後のロードマップについて語り、VRに関しての展望が示されました。

(参考記事)
眼鏡型、VR/AR切り替え。ザッカーバーグ、今後10年間のロードマップの中でVR/ARの展望を語る

2日目の基調講演では、Facebookが取り組んでいる3つの技術についてより詳細な説明が行われました。その3つの技術の一つにVRが含まれており、コネクティビティ、AIと並んで紹介されました。

説明では、Gear VR等に向けた360度動画の撮影、配信について言及されたほかFacebookが目指している「ソーシャルVR」について実演。Oculusの研究チームによる説明を含めた興味深い講演となりました。

2016年3月28日に出荷を開始したOculus Rift製品版に加え、2016年中に発売されるOculus Touchを使うことで、VR体験におけるプレゼンス(実在感=そこにいる感覚)はより強いものとなります。

また、Oculusの技術デモ『Toybox』に見られるように、Oculus Touchを使うことで、同じVR空間にいる他のプレイヤーを意識する感覚が生まれると主張。FacebookとOculusはこの感覚をソーシャル・プレゼンス(ソーシャルな実在感)と呼びました。

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アバターを相手にソーシャル・プレゼンスを感じることも可能になることを説明。

さらにこのソーシャル・プレゼンスを説明するために、35マイル(約50km)離れたFacebook本社にいる社員とVR空間でコミュニケーションをとるプロトタイプデモを実演しました。

https://www.youtube.com/watch?v=yxHwWHHg4Vs

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このデモでは、360度静止画をギャラリーから”掴んで”選び、一瞬で世界の別の場所に行くことができます。実演では、ロンドンの中央駅や、Facebookの工場、ロンドンの市街で有名な時計塔ビッグベンを見ることのできるスポットを巡りました。

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さらに、「まだビッグベンを背にセルフィを撮ったことがない」と言うと、VRの中でセルフィスティックを持ち、2人で記念撮影。記念撮影の前には手描きのネクタイをそれぞれに描く様子を実演しました。

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遠く離れた人とまるで隣にいるかのように振る舞えるということを壇上で実演したことになります。

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Facebookはこの感覚をソーシャル・プレゼンスと呼び、「このプロトタイプはまだ初期のものだが、近いうちにこうしたことがVRで体験できるようになる」としました。

ソーシャル・プレゼンスを実現するための要素とは

その後に登壇したOculusの研究チームからは、このソーシャル・プレゼンスを実現する要素についてより詳細な説明が行われました。

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子供が誕生した瞬間その場にいる人々の間に生まれる感情はその場にいる者のみが味わえるものです。しかし、ソーシャルなVRの究極的な目標は、物理的な距離を関係なく、まるでその場にいるかのような感覚(ソーシャル・プレゼンス)を実現することだと述べています。

また、VRで実現するプレゼンス=実在感(そこにいる感覚)とソーシャル・プレゼンスは異なるという話もありました。プレゼンスが自分がそこにいる感覚そのものを指すのに対し、ソーシャル・プレゼンスは「同じVR空間内にいる相手を意識する感覚」を指します。

ソーシャル・プレゼンスには、Elaborate code、つまり普段意識しないささいな仕草などがソーシャル・プレゼンスを感じる上できわめて重要になります。例として顔の表情だけではどういった感情を感じているかわからず、手の動きも入ることで感情が読み取りやすくなることなどが挙げられました。

そして、VRでソーシャル・プレゼンスを実現するには、そういったささいな仕草をキャプチャーし、ネットワークを介してディスプレイ上に表示すること、そして途中でどういった仕草なのかを予測することが重要になってきます。Oculus Touchには、指の動きからジェスチャーを予測し表現する機能が備わっていることが明らかになっています。

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ソーシャル・プレゼンスに関して、まだ研究段階であるとしつつ、完全に実現した際には世界を変えることになるだろうとして説明は締めくくられました。

ソーシャル・プレゼンスの実現に向かって進むFacebookとOculus。実際にどのようなアプリケーションにつながっていくのか注目したいところです。

(参考記事)
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この記事を書いた人

  • KFtb1VIM

    慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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