巨匠ダリの絵の中をバーチャル旅行『Dreams of Dalí』

※本記事は、2017年6月29日にHTC社公式ブログに掲載されたStephen Reid氏の記事を翻訳したものです。

サルバドール・ダリの絵画に入りこみ、その中を旅することができるVR美術館エクスペリエンスが登場しました。

https://www.youtube.com/watch?v=lKEpPBKV6Q0

さまざまなVRエクスペリエンスや360度動画を配信するアプリ「Inception VR」の新着コンテンツ『Dreams of Dalí』は、フロリダのザ・ダリ・ミュージアムで展示中のVR作品を家庭のVRヘッドセットでも楽しめるように配信しているものです。ダリの絵画に描かれた風景の中に自分が入れるという、美術ファンやシュールレアリストには夢のような体験を実現します。

HTCはザ・ダリ・ミュージアムの最高マーケティング責任者(CMO) Kathy Greif氏とInception VRのCEO、Benny Arbel氏にそれぞれお話を伺いました。

 


ーーまず、『Dreams of Dalí』を制作された経緯を教えてください。

Kathy Greif氏(以下、Greif):
ザ・ダリ・ミュージアムでは、訪れた方々に感覚、感情、認知を動かされる体験をしていただきたいと常に模索しています。絵画鑑賞はときに、非常に心動かされるものです。皆様の体験をより豊かにできる手段は積極的に取り入れたいと考えています。解説パネルやオーディオガイドで作品に関する情報を提供したり、ガイドツアーで解釈を深めるお手伝いをしたりといった従来からある手段だけでなく、作品やアーティストの世界により深くひたれるように展示環境を工夫したり、インタラクティブ体験を取り入れたりといった新しいやり方も使って、総合的に皆様が見に来てよかった、有意義な体験ができたと感じてくださればなによりです。
ここ数年は、特別展にインタラクティブ体験を取り入れています。必ずしもオールデジタルとは限りませんが…『Dreams of Dalí』は元々、当館で行ったDalí & Disney展のために制作したもので、ダリとディズニーという2人のアーティストの友情と協力を表す作品となっています。どちらも革新的なものに関心を持ち、また革新をもたらしたことで有名ですね。件の展覧会で『Dreams of Dalí』のVR体験ブースを設置したところ、あまりに好評だったので、より多くの方が体験できる手段を用意しようということになったのです。

ーーこのエクスペリエンスではダリが1935年に描いた絵画『ミレーの≪晩鐘≫の古代学的回想』の中に入りこむわけですが、この作品はジャン=フランソワ・ミレーの『晩鐘』に強い影響を受けていますよね。VR化の対象として選んだのには何か特別な理由があるのですか?

左がジャン=フランソワ・ミレー『晩鐘』、右がサルバドール・ダリ『ミレーの≪晩鐘≫の古代学的回想』。

Greif:  
『ミレーの≪晩鐘≫の古代学的回想』を選んだのは、美しい風景と謎めいた塔が描かれているからです。塔の中や外や、その周りはどうなっているのか、想像が広がります。当館所蔵のダリ作品コレクションのどれを使ってどのような方向性のものを作るか、可能性はいくらでも考えられました。彼の作品は様式も分野も多岐にわたるものですから…まあ言い出すときりがないので、サンフランシスコの制作会社Goodby Silverstein と相談して、このダリの初期の作品なら美しいものが作れるだろうということになりました。

ーーダリは独特のスタイルで有名ですが、そのことはVR化にあたってどのように働きましたか?

Greif:
ダリは新しいテクノロジーに対しては今でいう「アーリーアダプター」でした。もし今生きていたら、自分の絵がこういう形でオマージュされたのを見てとても喜んだのではないでしょうか。ダリの絵画の多くは何時間眺めても次々と新たな発見があるような多層構造になっていますし、視覚トリックもよく使われています。ですからVRにはあつらえ向きなのです。
ダリの作品には想像力を遊ばせるようなところがありますし、VRは想像でしか行けないような世界に頭を連れていってくれます。それに、ダリは本当に幅広い分野に作品を残しました。油絵、デッサン、版画、イラストレーションはもちろん、映画や舞台芸術やファッションデザインもやりましたし、凝った料理本まで書いているのです。私たちが想像力を羽ばたかせる余地はたっぷりあります。

ーー『Dreams of Dalí』にはダリファンが思わずニヤリとするような要素はありますか?

Greif:
光る球体があるエリアは、そこからさらに奥を探検できるようになっています。ダリの作品への言及はいたる所にちりばめられています。鳴り続けるロブスター電話やアリス・クーパーのホログラム像のように当館が収蔵する実際の作品からとったものもありますし、竹馬で歩く象の群れや縄跳びをする子供のように作品から着想を得て付け加えたものもあります。

ーー『Dreams of Dalí』をViveで体験するメリットは何ですか?

Benny Arbel氏(以下Arbel):
Viveは『Dreams of Dalí』を体験するのに最適な機器です。ダリの世界へ完全に入りこむことができます。ViveとVRはカジュアルなエンターテイメントの未来だと弊社は考えています。疲れて家に帰ってきた後、リビングで息抜きに、都合のいい時間に楽しめるようなコンテンツですね。芸術鑑賞の一つの形としても今後発展していくでしょう。私たちが期待する水準はますます高まっていますが、このように「作品の中に入りこむ」鑑賞体験は、若い新世代にアートや文化の魅力に気づいてもらうにはすばらしい方法だと思います。

ーーInception VRでは他にもダリの絵画をもとにしたインタラクティブ作品2本を配信していますね。今後もダリ作品のVR化を進めていく予定ですか? 他の画家や絵画分野でVR向きだと思われるものはありますか?


Arbel: 
Inceptionとしては、今後もVRアートコレクションを拡大していきたいと思います。ダリの描く夢幻的な光景を実際に歩き回れるものにする機会を得たことは光栄です。もちろん、他にも作品をVRで体験できればすばらしいだろうと思うアーティストは大勢います。ダリの美術館は米国フロリダ州セントピーターズバーグとスペインのフィゲレスにあり、どちらとも強いつながりができましたので、今後も協力してダリの新たなVRエクスペリエンスを作っていこうと計画中です。
また、世界各地のアートセンターとも協力して、過去の展覧会をVR上で引き続き見られるような取り組みも進めています。たとえばロンドンのサマセット・ハウスで開催されたDaydreaming with Stanley Kubrick 展や、同じくロンドンのラウンドハウスで行われたRon Arad Curtain Call 展。グッゲンハイム美術館については、キュレーターが個人的なおすすめ作品を紹介してくれるプライベート館内ツアー仕立てになりました。

ーー『Dreams of Dalí』はInception VRで初めてアプリ内課金を導入したコンテンツとなりましたが、今後も同様なコンテンツを増やしていきたいと思われますか? 360度映画クリエイターにとって有効な収益源となりそうですか?


Arbel: 
NetflixやVOD、PPVといった先例が示すように、人々は優れたコンテンツには喜んでお金を払ってくれます。『Dreams of Dalí』は教育的で文化的な内容ということもあって、VRには普通の2D体験にない価値があると考えてくれる視聴者がつきました。実験的な試みではありますが、今後クリエイターとユーザー両方に価値をもたらす仕組みになることは、かなり期待していいのではないかと思います。
Greif:
『Dreams of Dalí』の収益はすべて、当館コレクションの保存管理、研究、展示や、各種の教育および地域活動プログラムに役立てさせていただきます。

『Dreams of Dalí』はInception VRのアプリ内購入で入手できます。 Inception VRはViveportで配信中です。アプリ内購入の決済にはViveportウォレットが使えます。残高の追加はこちらからどうぞ。
※本記事はHTC社より許可を頂き翻訳・掲載を行っています。

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