【インタビュー】DMM VR、初年度売上20億円突破 攻めの姿勢

国内最大手の有料動画プラットフォーム「DMM.com」は、2016年11月より動画のVRコンテンツを配信する「DMM VR動画」を展開しています。

一般向けコンテンツも拡充し、2017年7月にはミュージカル『刀剣乱舞』のVR映像、9月には『進撃の巨人』のVR作品といった人気コンテンツの関連を配信開始。さらにPlayStation VR(プレイステーションVR・PSVR)Oculus Rift、HTC Viveに対応するなど、コンテンツ追加・デバイス対応ともに展開を続けています。

今回はDMMがVRに取り組んできた一年間の実績と今後のVR関連事業の展開について、「DMM VR動画」を担当するDMM.com 執行役員 動画配信事業部長の山本弘毅氏にインタビューを行いました。

一周年を迎えるDMMのVR、初年度売上20億円を達成

——DMMさんがVR動画配信サービスを開始してから、およそ1年が経とうとしています。前回インタビューさせていただいた4月から色々と変化があったかと思いますが、その後いかがでしょうか。

山本:
2016年11月のサービスリリース以来、順調に伸びています。リリースから1年の売上は約20億円ほどで、事業としても黒字化していますね。VRの普及に伴って需要も伸びてきていると感じます。2年目は30億円以上の売上を見込んでいます。

——コンテンツ数もだいぶ増えましたよね。半年前のインタビュー時点ではおよそ1200作品以上とのことでしたが。

山本:
合計で2,500作品以上のVRコンテンツを取りそろえています。100以上のメーカーさんが参加してくださっていて、以前よりもさらにコンテンツ面は充実してきたと思います。

——これまでに購入や課金がされたコンテンツは、累計でどれくらいなのでしょうか?

山本:
サービス開始からトータルで300万件以上のVR作品が売れています。一番人気の作品はそれだけで10万件以上の購入がありますね。VR動画を購入しているユーザーは毎月10万人以上います。

——300万件以上となると、半年前と比較して4倍以上になっていますね。4月時点では一番売れている作品だと売上が5,000万円を超えているとのことでしたが、現在はさらに伸びているのでしょうか?

山本:
ええ、伸びています。今だと7,000万円ほどですね。5,000万円以上売り上げている作品が3タイトル、1,000万円以上5,000万円未満が20タイトル以上、500万円以上1,000万円未満が30タイトル以上あります。全体的に売れ行きは好調に推移していて、今後も様々な展開を予定しています。このタイトル数の中には一般作品も含まれています。

『刀剣乱舞』が人気、様々なコンテンツがそろう

——コンテンツのタイトルもだいぶ増えてきましたし、売上も伸びているとのことでしたが、具体的にはどういったコンテンツが伸びているのでしょうか?

山本:
一般作品では『刀剣乱舞』のミュージカルですね。トータル3時間と長尺の作品なのですが、この作品でVRを初めて体験するという方も多くいらっしゃいます。他にも有名な女優さんのタイトルが伸びますね。他にも色々なところで長尺の作品の人気が出てきています。時間が経つにつれてVR自体の認知度も上がってきたので、VRを体験することのハードルが下がってきたように感じています。

——VRコンテンツの制作に新規参入するメーカーも多いと思いますが、そういったコンテンツホルダーやメーカーの方の要望にはどのようなものがありますか?

山本:
作ってみたいという要望をいただくことは多いのですが、作り方や制作費、全体の流れのイメージがしにくい、と言われるケースが多々ありますね。何しろ初挑戦のメーカーさんも多いですから。メーカーさんに一任する部分はあるものの、DMMも情報提供をしつつ、一緒に盛り上げていくいくようなイメージです。映像素材とメタデータさえいただければ、エンコードやWeb制作、課金システムなどはDMMが代行しますので、ぜひ配信を検討していただければと。

——コンテンツホルダーやメーカーの方々と協力して進めていくような形なんですね。

山本:
最近は『進撃の巨人』や乃木坂46のVR動画も配信していますし、いろいろな方面から参入してくださっていますね。

ミラーリングもオフ、安心してVRに没入できるように

——DMMさんのVR動画はいろいろなデバイスに対応していますよね。順調に売上やコンテンツ数が伸びているとのことでしたが、対応デバイスが幅広いこともプラスに働いていると思います。

山本:
iOSやAndroid、Gear VRといったスマートフォン(スマホ)だけではなく、4月末にはPSVR、8月にはOculus RiftとHTC Viveに対応しました。これら全てに対応している有料の動画プラットフォームは、国内ではDMM.comだけですね。一番多いのはスマートフォンですが、PSVRも月間で4万人以上のユニークユーザーがいます。国内の販売台数を推測するに、PSVRのユーザーのかなり多くの方にみていただけているのではないかと考えています。

——PSVRへの対応を行った当初は、動画がPSVR本体だけではなくテレビにもミラーリングされる状態になっていましたが、そちらも無事対応しましたし、安心して動画が見れますね。

山本:
あれは動画を見てくださっている皆さんの強い要望もありましたので(笑)ミラーリングをオフにできる機能は世界初です。

——デバイス関連では、今年10月から年末にかけて複数のメーカーからWindows Mixed Realityヘッドセット(MRヘッドセット)が発売されましたが、こちらの対応予定されるのでしょうか?

山本:
年内にはMRヘッドセットにも対応する予定です。WindowsストアにDMMのアプリを配信し、Windows Mixed Reality(Windows MR)で動画を視聴できるようになります。今後も国内でユーザー数が増えそうなデバイスについては順次対応していきたいと思っています。いろいろな人にVRの動画を届けることができればと。その一環として、全国の家電量販店に設置されたMRヘッドセットのデモ機でDMMの動画コンテンツを視聴できるようにする予定です。こちらの取り組みは、先日MRヘッドセットを発表した富士通さんと協力して行っていきます。

——コンテンツメーカー各社だけではなく、デバイス開発をしている会社とも協力していくと。

山本:
そうなります。他にも富士通さんのMRヘッドセットを購入した2,000名に、DMMのVR動画を購入できるポイントをプレゼントしたり、ソニーさんと提携して、ソニーストアでPSVRを購入するとDMMのVR動画に使えるポイントを付与したりと、そういったところからDMMのVR動画に興味を持っていただけければと思っています。

——DMMさんのVR動画に触れるポイントを増やしていく、ということですね。触れる機会を増やすといえば、DMMさんは今年の8月からドン・キホーテでポイント付のVRゴーグルの販売を開始されています。こういったVRゴーグルなどのスマホ向け展開は、より広げてゆく予定でしょうか?


(ドン・キホーテで販売しているDMMのVRゴーグル)

山本:
あのVRゴーグルは好調でして、増産しています。年末には一部の家電量販店でも販売を始めます。それに加え全国のセブンイレブンとファミリーマートで、DMMのポイントが付いた紙製VRゴーグルを11月6日より販売開始しています。手に取りやすく家で置いてあっても安心できるデザインにしたので、女性にもぜひ気軽にDMMのVR動画を楽しんでほしいですね。スマホといえば、今後はGoogleさんのDaydreamにも対応する予定です。

DMMポイント付き紙製ゴーグルのパッケージ。全国のセブンイレブンとファミリーマートで発売中

——PCと接続するハイエンドなものだけではなく、スマホで視聴するタイプも含めて展開を続けていく形ですね。

山本:
多数のデバイスに対応しているので、ユーザーの皆さんにとっては色々な方法でDMMのVR動画を楽しんでいただけます。コンテンツホルダー各社さんにとってはより多くのユーザーに作品を届けることができますから、こうした取り組みは今後も続けていきたいと思っています。


(紙製ゴーグルを組み立てたところ。ポップでかわいらしいデザイン)

DMM VRの今後の展開、「待っていても人は来ないので攻めていきたい」

——最後になりますが、今後のDMMさんの方針・展開は、他にどのようなものを考えていらっしゃいますでしょうか。先ほどはユーザー・メーカーともに広げていく方向性だとおっしゃっていましたが。

山本:
直近では11月10日がちょうどサービス開始から一周年になるので、一般向けも含めた111タイトルのVR動画を30%オフで購入できたり、PSVRやGear VRを抽選でもらえるキャンペーンを展開します。すでにお話しましたが、今後はDMMのポイント付きゴーグルをコンビニや量販店で展開、他にもMRヘッドセットへの対応などを行います他にも買い切りではなく月額制のサービスや、AR/MRのサービスの導入、オリジナルのゴーグルやコンテンツを販売する予定です。
また、UIやUXも含めてアプリのブラッシュアップもする予定です。ユーザーの皆さんにとって「日本で一番VR動画作品がそろっていて、価格も安く、利便性が高いサービス」を今後も作り続けていきたいと思っています。
将来的にはVR動画のプラットフォームとして、作品を問わず、日本で流通するVR作品を全て販売している形にしたいと考えています。そのためにはコンテンツの拡充もそうですし、いろんな人に触れてもらうことが重要だと考えています。待っていても人は来ないので、攻めていきたいですね。

——ありがとうございました。

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この記事を書いた人

  • あちらとこちらを往復する。某ゲーム系の制作会社でプランナー・進行管理・その他もろもろを経てMoguraに合流。現在は記事執筆や編集、取材などを担当。デジタルゲームやVR/AR/MRにおける物語体験や、フィクション/プレゼンスのありかたに興味。ゲーミングコミュニティ「ポ」の管理者のひとり、という側面も。 Twitter:@mizuharayuki