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業界動向 2016.12.14

【インタビュー】DMM VRは「想像以上に順調」公開20日で20万DLの裏側

VR元年と呼ばれ、主要各社のVRヘッドマウントディスプレイが一般販売された2016年。

VRを楽しむ環境が整ってきた中で、国内最大手の動画プラットフォーム「DMM.com」でも有料VR動画の配信が11月10日にスタートしました。

今回は、VRサービス開始の反響やユーザーが購入したコンテンツ、またVR動画についての取り組みについて、DMM.com 執行役員の山本弘毅氏にインタビューを行いました。

一番売れたコンテンツは20日間で1,000万円超

――DMMさんのVRサービスのローンチから20日ほど経ちました。ローンチ後の反響や売上など、正直なところを教えてください。

山本弘毅氏(以下、敬称略):
想像以上に反響は良かったですね。一番売れているタイトルは、1タイトルですでに1,000万円以上を売り上げていて、有料コンテンツの売上件数はトータルで20万DL以上です。ちなみに公開されているVRタイトル数は200本ほどです。私の周りのVR関係者の方々にこの売上の話をすると、皆さん相当驚かれます。なので、良い動き出しができたのかなと言えると思います。やはりスマホゴーグルで見ている方が多いですね。

――確かにVR動画1本の売上が1,000万円というのは聞いたことが無いですね!好調なスタートができた要因として、例えば広告の展開などはされたのですか?

山本:
予算的に大きく広告を展開するのは難しかったので、キャンペーンで10円のVR動画を配信したりとかですね。あと「ドリンクモード」がSNSで話題になりました。特にツイッターですね。リアルタイム検索でも「DMM ドリンク」とかで表示されたりとか。メディアさんでも「ドリンクモード」を取り上げていただいたりと、反響は大きかったです。あとはお試し用に無料のコンテンツを多く用意したので、これが有料コンテンツへの導線として機能したと言えますね。

1人で5つのコンテンツを複数購入のリピーターも

――売上の比率ではアダルトとノンアダルトでは、どのような売上比率になりますか?あとは売れ筋とかの傾向もあったりされますか?

山本:
売上ではアダルトが大きいです。先ほどの売上1,000万円のタイトルもアダルトですね。売れているタイトルで言うと、有名な女優さんやIPのものが売れ筋なのかなとは思いますね。ただ1,000万円を売上げた作品は、ここまで売れるとは事前に予想できなかったです。あと周囲からよく言われる「アダルトとVRの相性は良い」というのが、ユーザーからの反響や売上から、ある程度実証されたのかなと思いました。ただし、オープン当初の反響の大きさというのもあると考えています。これから2ヶ月後、3ヶ月後とある程度落ち着いた時期にどのように売上などが推移していくのかというのは、注視しています。

――例えばアダルトで全部のVRコンテンツを購入されているユーザーとかもいたりされましたか?

山本:
そこまではまだ調べていないですけれども、さすがに全てのコンテンツを購入というのは200本以上ありますので、そういうユーザーはいないのかなと思います(笑)。ただ、5本以上のコンテンツを購入されているユーザーの方は確認しています。有料のコンテンツになるので、リピーターが出ているというのは、コンテンツの質などでご満足いただけている、良いコンテンツだとご評価をいただけているのかなと感じています。

――確かに良いコンテンツでないとまた新しく購入しようとは思わないですよね。ちなみにですが、女性向けのコンテンツも配信されていたりされますか?

山本:
アダルトだとまだ配信されていないですけれども、一般向けのコンテンツで、舞台『刀剣乱舞』のVR動画をDMMのプラットフォームに、12月15日に公開します。PSVR向けに配信しているものと同じです。普通の動画であれば、舞台『刀剣乱舞』はすでに配信していて好評なので、VR動画を配信となった時にどれだけファンの方々に受け入れられるか、注視したいですね。ただこればっかりは予想をしても分からないので、配信後の反応を待っている状況です。この舞台『刀剣乱舞』が成功すれば、多くの一般のコンテンツが集まってくるといった、良い影響も出てくるだろうと期待しています。今のところ、課金できるVR動画配信型のオープンプラットフォームは国内だとDMMが唯一なので、多くの良質なコンテンツが集まってユーザーとの接点が増えるのが理想的ですよね。ユーザーが動くプラットフォームにしてメーカーにも売上として還元していくというのを考えています。

Wi-Fi環境が必要でも20万ダウンロード

――すでに配信しているメーカーはオープン時の1回だけでなく継続してVR動画を制作しようという感触でしょうか?

山本:
売上の出ているメーカーは特にそうだと思います。編集以外はそれほど制作工数とかも変わらないですしね。また、1タイトルで1,000万円の売り上げがあれば、もちろん利益も出ると思いますし。最初に参入していなかったメーカーの中にも、我々が好調だということから、興味を示してくれてというのもあります。業界内だとVRコンテンツの売上についての口コミとかも出ているようなので、VRコンテンツに関心を持ち始めたメーカーも広がってるかなと思います。

――20万という規模で360度動画がダウンロードされた訳ですね。

山本:
ダウンロードするにはWi-Fi環境が必要ですしね。そういう意味でユーザーは絞ったつもりでした。VRは最新のテクノロジーなので、一般のユーザーの方々はHTC ViveやOculus Riftを知らない方が普通です。スマホの段ボール型のVRコンテンツでも「VRってスゲー!」と驚いてくれる方が多いですね。私たちはコンテンツの画質にはこだわりたくて、ストリーミングではなくダウンロード型でコンテンツを配信しています。特にお試し用の無料コンテンツは選びました。VR体験が初めてというユーザーの方が見て「こんなものか」と思われてしまうのは避けようと。実際はストリーミングで見たいというユーザーのご要望は多いのですけれども、DMMは画質にこだわってダウンロード型でいこうとなりました。コンテンツへの評判も良かったので、主観もありますが結果的には良い選択だったなと思います。

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国内販売の有料の一般/アダルトVR動画は全て取り扱いたい

――ユーザーからは好評とのことですが、逆に改善点などはありますか?

山本:
改善点としてはUIの部分などですね。我々としては一般のコンテンツでもアダルトのコンテンツでも、どちらが売上が上がっても良いと考えています。今はアダルトの売上が大きいですけれども、特にアダルトをプッシュしているという訳ではないんですよ。最終的には、例えば舞台をVR動画でライブ配信したりとかというのも考えています。これはできても数年後になるかなとは思いますが、実現させたいですよね。

――ちなみに一般のVR動画コンテンツをDMMさんで有料配信したいという場合は、どうすれば良いのでしょうか?

山本:
お問い合わせいただければ対応させて頂きます。ただし、他のサービスで無料で配信していて、同じコンテンツを有料で配信するのは難しいですね。試しに売ってみたいという場合もOKです。一般、アダルト問わず、日本で販売課金されるVR動画を全て取り扱いたいというのが我々の基本ポリシーですね。商品点数が多くて、価格も最安値で対応デバイスも多くて、さらに使い勝手も良くてというプラットフォームであれば、先行している方が有利になるので、もし将来VRの市場が10倍になった時に、競争に勝てる状況を今から作っていきたいと考えています。

――やはり成功したコンテンツが出てくるのは業界の活性化につながりますよね。特にアダルトの分野を中心にいち早くVRで360度動画を見るという普及への良い流れが生まれつつあるのかもしれませんね。本日はありがとうございました。


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