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テック 2016.06.21

VRで「スポーツに勝てる脳を作る」 デッドボールの反応を安全に見ることができるシステムでデータ収集

6月2日〜6月3日に京都でNTTコミュニケーション科学基礎研究所オープンハウス2016が開催されました。そこで展示された中からVRをデータ収集に活用した展示をご紹介します。

『「スポーツで勝てる脳」をつくる ~脳科学に基づくスポーツ強化システム~ 野球の打者がボールを打つとき』

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スポーツにおいて大事なのは強い身体だけでなく、「巧みな協調動作、正確な状況把握」と「最適なメンタル、相手との駆け引き」が重要です。しかし、一流のプロ選手でも動作や意思決定を瞬間的に行っているため「自覚できない脳活動」大きく影響しています。

そのため、こちらの展示で出ていたシステムはウェラブルセンサ、機械学習、五感フィードバックなどの技術を用いて新たなスポーツの上達支援方法を探求するために開発されました。

例えば野球のバッターがバッターボックスに立っている際、投球フォームのどのタイミングで打つ準備を始めるのか。危険球を投げられた場合どのタイミングで回避行動に入るのか。次の球が投げられるときに恐怖を感じて体が反応するのかなど、瞬間的に反応しているので、選手本人も言語化できないことを実験から確かめられます。

位置センサーがついたスーツ(XSENS)を着用して動くと空間内の体の各部位の位置を時間軸にそって記録が可能になります。

今までの方法では実験室で行うと実験を統制することができますが、臨場感が薄いので被験者が実際の球場で反応する場合と差異が出てしまいます。

現実で行えば、実験データは実際の行動に近いものがとれますが、環境に左右され、危険なことはできません。その点VRならば実際の球場で、実際に投げられ球を、打つ感覚に近い反応が得られるということです。

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今回は位置センサー付きスーツを試すことはできませんでしたが、ヘッドマウントディスプレイのOculus Riftを被って体験ができました。

さっそく、体験者は野球場のバッターボックスに立っています。ピッチャーマウンドにはピッチャーが立ってこちらを見ています。野球場と投手は360度全天球の実写映像で、球とバットとグランド上の白い線はCGです。危険球を投げてもらいましたが、ピッチャーが振りかぶり球が投げられた直後には、顔にぶつかりそうになる球に思わずのけぞってました。この反応が現実に近い反応ということです。

このシステムでは、スポーツ選手の心理や体の使い方を解明し、選手の練習に使ってもらうこと目指しています。

現実で速球を頭に当てるように投げる実験は、危険過ぎて困難ですが、VRなら被験者に安全で、現実に近い反応のデータが得られます。エンターテイメント以外の使い方として興味深い発表でした。


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