【体験レポ】グーグルの新スマホVR「Daydream」はGear VRに並ぶ新たなミドルレンジVR

グーグルがこの11月からスタートする新たなVRプラットフォームDaydream。サンフランシスコで開催中のVRDCにて、体験ブースが設けられました。

今回の記事ではその体験の様子をレポートします。体験できたのはいずれもDaydream専用のゲームとしてローンチタイトルに挙げられている『Fantastic Beasts』と『Wondergrade』。

Daydreamとは?簡単なおさらい

グーグルはこれまで、スマホを使って簡単にVRを体験できるCardboardを普及させてきました。2016年5月には、Cardboardと一線を画した高品質なスマホVRのためのプラットフォームDaydreamを発表。10月には、対応スマートフォンの第1弾としてグーグルのスマートフォンPixelが、そしてヘッドセットDaydream Viewが発表されました。今後、Androidスマートフォンメーカー各社から対応スマートフォンが発売される予定です。

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小ぶりで軽く、柔らかな外見

まずはDaydream Viewの外見から紹介していきます。Daydream ViewはGear VRなど他のヘッドセットに比べると小ぶりで軽量です。Oculus Riftが最も近くなり、カタログスペックでは、16.6cm × 10.6cm × 9.8cm、重量は220gです。装着するとつけていることを感じさせない軽さでした。
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外装はマイクロファイバー製。手触りは柔らかく、心地よいのが印象的です。また外見も、いわゆるメカのような黒いヘッドマウントディスプレイと比べると、柔和な印象を受けます。カラーバリエーションも用意されており、スレート以外にスノウ、クリムゾンレッドが発表されています。

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小ぶりながら、顔への接着面は広く、眼鏡も入りやすくなっています。ただし、筆者の眼鏡がちょうど入るくらいの広さだったため、横幅の広い眼鏡をかけていると入らない可能性があります。顔に接しているフェイスカバーは柔らかくしっかりとフィット。はずして洗えます。

Oculus Riftと同様、鼻の接着面は高めに設定されており、鼻の低い筆者が体験した際は隙間から光が漏れていた点が気になりました。

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簡単な操作性

Daydreamの起動方法は至って簡単です。Daydream Viewのフロントカバーを開け、スマートフォンを載せます。自動的にスマートフォンがヘッドセットを判別して「カバーを閉じるように」というメッセージが表示されます。そのままカバーを閉じて、固定して完了です。

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スマートフォンをカバーで挟み込むメカニズムのためズレないのか気になりますが、引っ掛ける機構がしっかりしていること、そしてスマートフォンをしっかりと固定する滑り止めがスマートフォンを固定しており、体験中に動いても一切ずれることはありませんでした。

Daydream Viewを使用時はスマートフォンにケースがついていても装着できる使いやすさ重視の設計です。

遅延は確かに感じられない

Daydreamの特徴は低遅延。VR体験中に頭を動かした際に、画像がついてこない遅延が発生すると、酔いを招く、作り物であることを意識して没入感がなくなる、など体験の質を下げることになります。

20ミリ秒を下回ると人間は違和感を感じなくなると言われており、ハイエンドとされているVRヘッドマウントディスプレイ、Oculus RiftやHTC Vive、PlayStation VRではこの数字を下回るための工夫がハードウェア、ソフトウェア、ミドルウェアレベルで見られます。

グーグルはDaydreamでこの低遅延を実現するべく、OS(Android)、ハードウェア、アプリがそれぞれVRに最適化しました。Cardboardでは80~90ミリ秒かかり、品質を下げていましたが、Daydreamでは20ミリ秒以下を実現しています。

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Cardboardの遅延(左)とDaydreamの遅延(右)

実際に体験してみると、『Fantastic Beasts』のようなフル3DCGの美しくハイクオリティなグラフィックのコンテンツで頭を動かしても遅延を感じることなく非常に快適でした。

なお、視野角はやや狭く感じられました。Gear VRでは96度とされていますが、90度くらいの狭さ。また瞳孔間の距離(IPD)を調整する機構はないため、人によっては目が疲れてしまうことがあるかもしれません。

操作しやすいコントローラー

Daydream Viewには、リモコン型の専用コントローラーが付属します。スマートフォンとはBluetoothで接続。傾きを測定するセンサーが搭載されており、コントローラーを傾けることでポインターをずらしたり、さまざまな直感的な操作ができます。

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Oculus Touchなどのように、手を自由に動かすことができるわけではありません。しかし、メニュー画面などでリモコン代わりに使ったり、ゲームの簡単な操作をするには十分な性能と没入感を壊さないものでした。

今回体験することのできたデモ『Fantastic Beasts』はハリーポッターの世界観を体験できるゲーム。プレイヤーはリモコンを魔法使いの杖に見立て、周囲にあるものに魔法を使っていくという体験です。傾きのトラッキングのみのため、現実にある手の位置とVRの中で杖が表示されている位置は完全に一致しませんが、あまり違和感なく体験できます。逆に腕を前に出し続けないことで疲れることがないのは、カジュアルにVRを楽しむためには良い点かもしれません。

なお、『Fantastic Beasts』はグラフィックが美しく、魔法使いの部屋の表現や登場する怪物のグラフィックがかなり作り込まれたものでした。同じスマートフォンを使った体験でもCardboardとは明らかに異なり、Gear VRに近いないし、上回るクリアな描画を実現しています。

https://www.youtube.com/watch?v=J9bkKUrFloo

もう一つのコンテンツ『Wondergrade』は複数のミニゲームを体験できるコンテンツ。今回体験できたのは、迷路のような板を傾けてボール状のキャラクターを転がすというもの。360度自由に回転することのできるDaydream Viewコントローラーの特徴を活かしたものでした。

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総評~前評判に違わぬ高品質なスマホVRの実現

総合すると、Daydream(Pixel)の体験は、Gear VRと比べてもほぼ同程度と言えるものでした。描画性能や3Dサウンドなどは同程度、一方専用の直感的なコントローラーがある分、操作性はDaydreamが優れるものの、視野角やレンズの調整など惜しい点も残ります。

良い点
・画質が綺麗、高品質な描画
・低遅延で非常に快適
・デバイスが小振りで軽い
・装着感が良い
・眼鏡のまま使える
・装着が簡単
・カラーバリエーションがある
・コントローラーが直感的

気になった点
・視野角が狭い
・瞳孔間距離の調整ができない

Daydream Veiwは79ドル(約8,000円)。世界5ヶ国で11月10日に発売予定です。Pixelを始めとして最新のAndroidスマートフォンを持っている場合、Daydreamは本格的なVR体験を可能にします。同程度の性能となるGear VRはサムスンのGalaxyシリーズ専用ということを考えるとDaydreamはより裾野が広く、VRの普及を加速させる可能性のあるプラットフォームです。

記事執筆時点(11月3日)では、Pixel以外のスマートフォンは公式に対応が発表されていませんが、今後各社対応とその普及に期待したいところです。

なお、Daydream View、Pixelの日本での発売は未定です。

Googleが推進する、高品質なモバイルVRのプラットフォーム『Daydream』についての最新情報はコチラ

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この記事を書いた人

  • KFtb1VIM

    慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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