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活用事例 2017.06.22

現実で大人たちが「ぐるぐる回る」異様な光景、でもVR内では…?『CLOCK  WALK』体験レポ

VRコンテンツで遊んでいると、VR内でもっと遠くの場所へ、現実で歩くように好きに移動をしてみたいと思うことがあります。

たとえば『無限回廊 – Unlimited Corridor』(以下、Unlimited Corridor)は、円柱に手をつけて周囲を歩き続けることで、VR内で遠くまで歩いているように感じることができる作品。東京大学大学院廣瀬・谷川・鳴海研究室とUnityの簗瀬洋平氏による制作です。

『Unlimited Corridor』に影響を受けて作られたのが、VRコンテンツを多数制作している株式会社ハシラスが制作した『CLOCK  WALK』です。

本作は『Unlimited Corridor』と比べ、より狭い範囲で体験できるようになっています。今回、そんな『CLOCK  WALK』を体験をしてきました。

大人6人でぐるぐる回る異様な光景


『CLOCK  WALK』は円の中心からのびた金属棒に歩行器が付属した、人力で動かす小型のメリーゴーランドのような形状です。

歩行器は全部で6個、最大6人で体験します。

歩行器に入りVRヘッドマウントディスプレイを被ると、VR内では、ヘッドホンやコントローラーがどこにあり、どの順番に装着するか説明ビデオが流れ、装着から準備まで1人でもできます。

全員の準備が整うと、目の前と後ろに子供のアバターが現れます。右を向くと中心には大きな木。前の人にぶつからない程度の距離をとって歩き出します。

回っていてもまっすぐ歩いている気がする

最初は木の周りをぐるぐると回っていますが、そのうち目の前の子供が円を離れまっすぐ鳥居のある方向に歩きだします。つられて筆者もその後ろの子もまっすぐに鳥居の方へついていきます。

感覚としてはまっすぐ歩いているように感じますが、現実では漫画や映画で見るような、奴隷が棒を掴んでぐるぐる回っているような状況なので、傍目には異様な光景に映ります。

VR内ではいくつもの鳥居を抜ける間に、夕方から夜へ、手に持ったコントローラーが懐中電灯となり、光が届かない暗闇には何かが隠れている気がしてきます。

トンネルを抜け、森の中の古井戸の脇や、墓場を通過していきます。先頭の子はまっすぐ歩いていきますが、後ろはついてきてるだろうか、と振り返ると……!ここはぜひ、体験してみてください。


体験時間は装着から終わるまで約5分程。歩いた距離は240mとのこと。


コンテンツは肝試しとのことでしたが、今はまだ開発段階のため特に驚かすような演出もなく、暗い森やトンネルを6人で歩き続けるコンテンツです。

どの体験者もVR内では常に2番目になるようになっていますが、前後のアバターの顔の動きや、アバター間の距離は現実で前後にいる人の動きそのままです。

途中で止まったり、動きがゆっくりになったり、不意に先頭の子供が振り返ることもあります。前の人が振り返ったときの「とある演出」は驚きます。完成してさらに怖い演出が加わるのが楽しみです。

 

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ぐるぐる回ると酔うことも

『CLOCK  WALK』は円の半径は222cm程で、240m歩いたとなると約17周回ることになります。酔いに弱い人にとっては、小さなメリーゴーランドに乗ったり、スイカ割りで一ヶ所でグルグル回るとふらつく状態と似たような状態になることがあります。

まっすぐ歩いている気分ですが、回転しているため、外側に振られるような遠心力を感じることがあり、歩いているとふらつくような違和感を感じます。

また前の人にぶつからないように歩いていても、周囲を見回していると前の人にぶつかったり、後ろの人にぶつけられることもあり、当たれば音と衝撃で没入感が妨げられます。

体がふらついたり、足がつまづいたとしても歩行器に掴まっているため転ぶことがなく安心感があります。また、酔いもぶつかることも、対策は可能とのこと。

パソコンは歩行器についているため、体にはVRヘッドマウントディスプレイとヘッドホンをつけるだけで身軽に体験できます。

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取り付けた物をトラッキングするViveトラッカーを歩行器につけて位置をトラッキングしているとのこと、歩きながら周囲を見渡すために頭を動かしても、映像がカクつくこともなくスムーズでした。

VR内を自由に歩きたい

VRは現実と変わらないと感じれば感じるほど、現実のように自由にどこまでも移動したいと思えてきます。現実でできてVRでできないことがあると現実ではないと感じ、没入感が削がれます。

VR内で移動をするときに、実際の体の動きとVR内の映像との差があると酔いやすくなります。

実際に歩くことでVR内も歩いたように移動することが酔いにくいことに繋がります。しかし、VR内は広大で、現実のVR体験場所は狭いです。

『Unlimited Corridor』は7m×5mのスペースが必要で、常に円の周囲の壁を触る必要があります。課題はありますが、触る必要がなくスペースが約5m四方の『CLOCK  WALK』は、VR内を長距離歩ける解決策の一つになるかもしれません。

『CLOCK  WALK』は2017年6月28日(水)~6月30日(金)東京ビッグサイトで開催される「コンテンツ東京2017」内 第3回 先端コンテンツ テクノロジー展、株式会社ハシラスブース(ブース番号21-36)にて展示予定です。


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