中国のVRHMD「暴風魔鏡」などを販売する暴風魔鏡社は、中国VR産業の発展を象徴する企業のひとつです。暴風魔鏡は大規模なリストラを行う一方で、資金調達の成功や新商品の発売を行っています。同社の動向は中国のVR産業の厳しさと今後の展望の両側面を示しています。
中国のVRメディア「87870.COM」は、暴風魔鏡のこれまでの事業展開と中国VR産業を紹介しています。
暴風魔鏡社の歩み
暴風魔鏡社のVRHMD事業は2014年7月から始まり、同年9月に一代目暴風魔鏡を発表し、価格は99元(約1600円)。スマートフォンをセットすることで、動画を3Dで見ることができます。3か月後、二代目がリリースされ、放熱などの問題の改善が行われました。2015年6月4日、三代目が登場し、視野角を48度から98度までに引き上げ、一部のAndroid型機向けの性能も向上させました。また、暴風魔鏡からサードパーティのVRHMDメーカーにSDKを提供したとの発表がありました。
スペック面の進化を見るととしては、初代モデルは直径50mmのフレネルレンズを使っており、長所は薄くて軽い点です。しかし、画質が低いという欠点もあります。2代目はレジンレンズを使用し、初代を改良しました。しかし、対応するスマートフォンのタイプによっては相性が良くありません。3代目は視野角が広く没入式レンズが特徴で、コストは20~30元(約330~500円)程度です。
Facebookが20億ドル(約2,300億円)でOculusを買収してから3か月後の2015年6月に暴風魔鏡はVRHMD計画を公開しました。同年3月に、ソニー・インタラクティブエンターテインメントはPlayStation VRの原型であるProject Morpheusを展示し、VRプロジェクトを正式公開しました。同年6月、GoogleはCardBoardを発表し、安価なVRHMDを提供した年です。
株式市場においては好調である暴風魔鏡は確かにVR産業の発展の恩恵を受けている最大のプレイヤーかもしれません。引き続き暴風魔鏡の開発を進めるのも不可能ではないと思われます。しかし、暴風魔鏡のCEO黄晓杰氏は経営の困難さを述べ、大規模なリストラを実行しました。
以降、暴風魔鏡以外にも多くのVR会社が経営困難という報道がなされました。資金調達した会社の多くもリストラしなければならない危機にあるということは、現在の中国VR産業は氷河期にさしかかっているでしょうか。
中国のVRを業界の動向はいかに
氷河期が来るかどうかにかかわらず、VR企業への投資状況から見れば、総計投資は4.2億ドル(約490億円)を超え、海外投資19件、国内投資8件、またBAT(Baidu・アリババ・テンセント)といった超大手の動きも見られています。
2016年9月、テンセントは「2016年テンセント世界協力パートナー大会」で、VRに参入すると宣言し、VRプラットフォーム「Tencent VR」なども発表しました。テンセントは引き続きゲームを中心にコンテンツを展開するとのこと。
また11月、アリババのVRショッピングアプリ「Buy+」を公開し、eコマースにおける地位を守ろうとしています。12月、BaiduがVRブラウザをリリースし、VR動画にも力を入れました。しかし、まだ成果は現れていないようです。また、XiaomiのVRHMD「Mi VR」は199元(約3000円)のVRHMDとなっており、VRを普及させる一因と見ることもできます。
BATやXiaomiの参入についても、各社の動きからみれば、自らの得意分野から始まり、漸進する形でVRへ取り組んでいく流れは技術不足の中国国内企業に適合する可能性もあることを示しています。
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テンセントの『Tenscent VR』とアリババの「Buy+」
暴風魔鏡の資金調達と新製品発表
12月21日、暴風魔鏡が資金調達の実施を発表しました。中信グループによる中信資本による主導で、天神互動、暴風鑫源などが続き、合計2.3億元(約38億円)とのこと。
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その前日の12月20日、同社は「暴風魔鏡S1」とスタンドアローン型VRHMD「Matrix」を発表しました。Matrixのポテンシャルに関しては良い評価が見られており、VR産業にさらなる刺激を与えることが期待されます。
(参考)
从暴风大跃进模式探究中国VR行业阵痛原点
http://news.87870.com/xinwennr-17526.html
※Mogura VR は、87870.comとパートナーシップを結んでいます。