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活用事例 2018.02.27

英BBCがVRスタジオ設立 国際問題をVRで伝える

VRは報道の分野での導入も進んでいます。英国放送協会(BBC)は、新たにVRコンテンツを開発・制作するスタジオ、VR Hubの設立を発表しました。同スタジオではVR技術者だけでなく、テクノロジーとクリエティブの橋渡しをするスタッフを、多分野にわたって集めています。

同時に、VR Hubのドキュメンタリー作品として、ナイル川上流のダム建設にまつわる背景や問題を紹介するVR映像『Damming the Nile』が公開されました。

ナイル川の水資源問題をVRで

エジプトとエチオピアの間では、世界最大の河川・ナイル川のダム建設をめぐる対立が続いています。ナイル川上流に位置するエチオピアが大規模なダムを建設しようとする一方、昔からナイル川を重要な水資源としてきたエジプトは、水供給量の低下を危惧して建設に反対しているのです。

VR Hubは二部構成のVRドキュメンタリー映像『Damming the Nile』を公開しました。このドキュメンタリーではBBCのアフリカ特派員であるAlastair Leithead氏が、ナイル川を巡る二国の対立背景を解説し、「ともすれば、水資源を争う戦争の火種となる可能性がある」と述べています。

Damming the Nile』はGoogle Cardboardのほか、BBCのGear VR向けアプリ『BBC VR』でも視聴することができます。

テクノロジーとクリエイティブを両立したスタジオ

BBCのVR責任者を務めるZillah Watson氏は、「編集やクリエイティブな作業を、技術から切り離すことはできないと考えています。VR Hubは多分野に渡るチームであり、テクノロジーとクリエイティブの橋渡しをすることを目指しています」と述べています。

VR Hubは2017年11月に結成され、12月からドキュメンタリーの制作が始まっていました。BBCは過去にもVRコンテンツの制作に取り組んでおり、ARアプリ宇宙飛行士のシミュレーションなども手がけています。

VR Hubの設立に際し、Watson氏は「私たちの調査では、高品質のコンテンツが少なく、体験手段も煩雑である限り、まだ多数の視聴者はVRを使用しないと示されています。そのため私たちは、少数であっても多くの人に訴求力のある作品に注力しています」と語りました。

VRはドキュメンタリー作品など、報道の分野で使われ始めています。それは、その場にいるような没入感を通じて、状況の理解などをこれまでのメディア以上に促進しているからです。2017年には中東の大手テレビ局であるアルジャジーラが、ロヒンギャ難民問題をテーマとしたVRドキュメンタリー『I Am Rohingya』を制作。またアメリカのニューヨーク・タイムズも、360度動画を毎日配信する新サービス「The Daily 360」を2016年からスタートしています。

BBCは今回のドキュメンタリーに加え、イギリスの女性参政権に関するVR作品も発表しています。

(参考) VR Scout

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