米企業のMeta社が開発するPC向けARヘッドセット『Meta 2』の出荷が8月に開始されます。同デバイスは昨年3月に開発者向けキットの予約受付を開始、当初は2016年第3四半期の出荷を予定していましたが、現在に至るまで出荷が遅れていました。マイクロソフトのHoloLensのライバル機としての位置づけを狙っているデバイスがようやく市場に投入されることとなります。
『Meta 2』とは
『Meta 2』はPCに接続して使用するシースルー型のARヘッドセットです。マイクロソフトの『HoloLens』や、Magic LeapのARヘッドセットのライバル機種として注目されています。
スペック:広視野角が特長
『Meta 2』の視野角は90度です。HoloLensの視野角が40度と狭く、表示領域が視界の中心部に限られるのに対して広視野角を実現しています。解像度は2540 x 1440ですが、使用する際はPCとケーブル接続する必要があります。また、デバイスには衝撃吸収材を使用しているため様々な環境で使用することが可能で、調節可能なヘッドストラップによって快適に装着できます。
『Meta 2』のスペック一覧は以下の通りです。
視野角 |
左右90° |
解像度 |
2560 x 1440 (2.5K) |
センサー |
位置トラッキングセンサーを搭載、ジェスチャー操作に対応 |
カメラ |
720pのフロントフェイスカメラ |
ケーブル |
ビデオ、データ、パワー送信用270cmのケーブル(HDMI 1.4b) |
重量 |
約500グラム |
スピーカー |
4つのサラウンドスピーカーを搭載 |
PCはグラフィック性能の高いものが必要に
『Meta 2』は現在同社の公式サイトで事前予約を受け付けており、価格は949ドル(約10.4万円)です。本体自体は30万円を超えるHoloLensに比べて低価格ですが、グラフィック性能の高いPCが別途必要となります。PCの推奨スペックは、Oculus RiftやHTC Viveなどに必要な「VR対応(VR Ready)」のPCと同程度となっています。また、MacOSへの対応も現在検討中とのこと。
『Meta 2』の動作に必要なスペックは以下の通りです。
推奨 |
必要 |
|
OS |
Windows 10 (64-bit) |
Windows 10 (64-bit) |
プロセッサー |
Intel® Core™ i7-6700 Processor もしくはAMD AMD FX™ 9590と同等か、それ以上 |
Intel® Core™ Intel 7-4770もしくは AMD FX™ 9370と同等か、それ以上 |
メモリー |
16 GB RAM DDR4もしくはそれ以上 |
8GB RAM DDR3 |
グラフィック |
NVIDIA GeForce GTX 970もしくはAMD Radeon R9 390Xと同等、もしくはそれ以上 |
NVIDIA GTX 960もしくはAMD Radeon R9 290 |
映像出力 |
1 x HDMI 1.4b |
1 x HDMI |
USB |
2 x USB 3.0 |
2 x USB 3.0 |
3Dエンジン |
Unity 5.6もしくはそれ以上 |
Unity 5.6以上 |
ディスクスペース |
2 GB以上の空き |
2 GBの空き |
8月の出荷を予定
同社によると『Meta 2』は生産数を増やす段階で問題が生じたことが現在の遅延につながったとのことですが、現在は生産施設を2倍の大きさに拡大して問題解決に取り組んでいます。
『Meta 2』の公式サイトのFAQページでは、同デバイスの大量出荷は「2017年第3四半期」を予定しているとの記載されていましたが、8月の出荷に落ち着きそうです。
Mogura VRの記者が2017年3月末にMeta 2のモデルを体験したところ、「位置を検出し、現実空間に3Dオブジェクトを配置する機能はHoloLensと比べて精度が高いとはいえず、課題を感じた」とのこと。マイクロソフトのHoloLensではかなり精度の高い機能がMeta 2でも実現できるのかどうか、注目したいところです。
『Meta 2』の登場がAR市場にどのような影響を与えるのか注目です。
(参考)
Road to VR / Following Delays, Meta Expects “Volume Shipping” of Meta 2 AR Headset in August(英語)
https://www.roadtovr.com/meta-2-shipping-manufacturing-delay/
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