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活用事例 2017.11.24

アップル、ARヘッドセット開発のVrvanaを買収か

米メディアTech Crunchは、アップルがARヘッドセットのスタートアップVrvanaを3,000万ドルで買収したことを報じました。Vrvanaは、ヘッドセット前面のカメラを用いたARヘッドセットTOTEMを開発しています。

はっきりとした色を出せるビデオシースルー型のARヘッドセット

Tech Crunchは2つの情報筋から、アップルがVrvanaを3,000万ドルで買収した、と報じています。同メディアの問い合わせに対し、アップルはノーコメントとしており、Vrvanaはコメントを行っていません。

VrvanaのARヘッドセットTOTEMは、2014年にKickstarterでクラウドファンディングを行ったものの、当時は目標金額に達しませんでした。TOTEMは好意的な評価を得ており、その後予約注文を受け付けていましたが、現在至るまで発売はされていません。

TOTEMがHoloLensのようなARヘッドセットと違う点は、HoloLensが透過型ディスプレイによる光学シースルー方式であるのに対し、TOTEMはヘッドセット前面のステレオカメラを用いて映像として現実の様子を表示するビデオシースルー方式であるということです。

透過型ディスプレイでは表示する映像が透けた色になってしまい、また周囲の明るさによっては見えづらいという欠点があります。一方、TOTEMはVRヘッドセットと似通った形状をしており、カメラで読み込んだ周囲の映像をOLEDディスプレイに出力しているため、現実の映像、CGに関わらずどちらもきれいに表示することができます。完全なVRヘッドセットとして扱うこともでき、VR映像からAR映像へとシームレスに移行することを可能にしています。またカメラによる位置トラッキング、ハンドトラッキングも実現しています。

一方の欠点として、一度カメラの映像を通してディスプレイに表示するため、遅延が生じてしまうという問題があります。VrvanaのCEOであるBertrand Nepveu氏は、この遅延を3ミリ秒程度まで縮めているとしています。

アップルのARデバイスへの動向

アップルは今年にはiOS向けのAR機能ARKitをリリースするなど、AR分野へ強い関心を示しています。光学シースルービデオシースルーを始めとしてAR技術やARデバイスに関連する特許も多く取得していますが、具体的な製品の情報はまだ出てきていません。

アップルのCEOであるティム・クック氏はARデバイスに関して「最初ではなく最高になりたい」と述べており、ARヘッドセットが2020年には市場に投入されるとの推測も出てきています。

今回の買収が事実なのか、もし事実ならばどのような形でアップルの製品開発に活かされるのか、気になるところです。

(参考)
Report: Apple Acquired VR Headset Startup Vrvana for $30 Million / Road to VR(英語)
https://www.roadtovr.com/report-apple-acquired-vr-headset-startup-vrvana-for-30-million/

Mogura VRは、Road to VRとパートナーシップを結んでいます。


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