“生き物”が“食べ物”になる瞬間を体験 塚田農場の「VR研修」

居酒屋『塚田農場』や『四十八漁場』を全国に展開するAPカンパニーは2017年7月9日、VRを用いたアルバイト向け研修プログラムを開始しました。

APカンパニー副社長の大久保氏は説明会において、まず社の概要と取り組みについて説明しました。

APカンパニーは生産地・生産者と直接提携関係を結ぶことで、生産者、販売者(APカンパニー)、消費者の三者がALL-WINできるビジネスモデルを実現しています。特に『塚田農場』は産地直送の地鶏を新鮮なうちに低価格で提供することで店舗数を伸ばしており、日本全国に241店、社員数は1188名、アルバイト従業員は4658名にのぼっています。
 
大久保氏は「従業員のサービスや質がお客様の満足度に直結している、という考えから、弊社では従業員の教育に力を入れております。生産者が地鶏を育てる様子や、生き物が食べ物にかわる瞬間を知ることは、従業員の質の向上につながります」と語ります。
 
社員には宮崎の養鶏場や処理加工センターを体験する機会を設けているとのことですが、アルバイト従業員約5000人を宮崎に連れて行くのは無理があります。ひとりの予算を5万円としても2億5000万円。しかし「お客様ともっとも長い時間接するのはアルバイト従業員です。それが今回のVRによる研修に繋がっています」と大久保氏。

東京にいながら宮崎の鶏をすぐそばに感じられる




実際のアルバイト研修はこれまで使用していたスライド資料や2D映像に、VR体験が加わることになります。VR研修のテーマは「ひよこから食卓まで」。動画は宮崎県の加工場、ひなセンターで撮影したもので、5分×3パターン、「聖域編」、「養鶏編」、「処理加工編」が用意されています。
制作に4ヶ月を費やしたというVR映像について、大久保氏は「東京にいるのに、すぐそこにいるかのような距離感で鳥を感じられます」と説明します。

「聖域編」

「雛センターはAPカンパニーの心臓部です」と大久保氏。雛の孵化の様子やワクチン接種の様子などの映像からなっています。
筆者も実際にVRHMDを装着しVR体験しましたが、映像内のものは3DCGで作られているわけではないため、視点を動かすことはできませんでした。しかし現実の世界を撮影していることから、臨場感にあふれていました。

「養鶏編」

雛から成鶏までの成長フェーズです。「大きいものでは4キロくらいになる地鶏の、意外な背の高さを感じてもらえます」と大久保氏。

「処理加工編」

鶏の口に刃物をいれ、放血(屠殺の手法のひとつ。血抜きの処理の一環でもある)する際の映像です。いまにも血が飛んでくるようなリアルさがあり、筆者もおもわず悲鳴をあげていました。大久保氏によると「私たちが売っている鳥が、お肉にかわる瞬間を体験できます」とのことです。

VR体験


大久保氏の後にはアルバイトの従業員が登壇し、実際にHMDを装着して放血シーンをVRで体験しました。生き物が食べ物にかわる瞬間を前にして、「嘘でしょ?」と声が飛び交いました。
 
天王洲アイル店のホールで働く竹嶋さんの感想は「どういう風に育ててもらって、どういう風に殺されるかを知ることで、よりよい接客ができるようになるだろうし、お客さんに美味しく食べてもらうことをひとりひとりがきちんと考えられるようになると思う」というものでした。

大久保氏によると、放血のシーンは2Dの映像でも目を背けるスタッフはいるそうですが、だから血を避けるようになるのではなく、「実際に放血などの仕事を毎日している人への感謝をもってくれたり、我々の会社にロイヤリティを持っていただいたりしている」とのことです。
 
研修は当初は本社において20名程度でおこなっていき、将来的には全国7エリア(北海道/東北/北関東/北陸/関東/関⻄/九州)や海外店舗でもVRの体験ができるようにしていきたいと考えているそうです。

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