Acer製マイクロソフトMRヘッドセットの使用感とは?徹底レビュー

※本稿は個人開発者である@hecomi氏の寄稿レビューです。

8月28日より出荷の始まったAcer製のWindows Mixed Reality(MR) Headset(開発者版)
。2017年10月より製品版がリリースされる予定の本製品ですが、今回、外観やスペックに加え、実際に使用してみた感触などのレビュー、セットアップやアプリの動作の様子を詳しくご紹介します。

MRヘッドセットや必要PCスペックなどの詳細については以下の記事をご参照下さい。

マイクロソフト「MRヘッドセット」徹底解説


外観・装着感など

まずは外観を見てみましょう。

額で支えるバイザー型になっており、ベルトは青いボタンを押しながら動かすことで調節が可能です。上部左内側にイヤホンジャックがついています。前面の黒い部位の両端にはカメラがついているのですが、こちらはトラッキング用途であるため、カメラの画をアプリケーションから利用できるわけではありません。レンズはフレネルレンズになっています。

前面のディスプレイ部分は、額当て部分と接続されているヒンジの位置で折り曲げてパチッと固定できるフリップアップ機構があるため、取り外したり上部にずらしたりすることなく、外の様子を確認することが可能で、飲み物を飲む際にちょっと上げる場合には便利でした。ただ、個人的には、開発中に外さずに上げた状態でコードを書く、といったことをしたかったのですが、上げた場合は重心が少し前へ移動しずり下がってくる印象を受けたため、フリップアップを利用せずに頭に乗せる形のほうが好みでした。

写真では額当て部が大きく見え、他のヘッドセットと比べても余りサイズは変わらないように見えますが、ベルトが細く構造もシンプルなため、全体の体積は一回り小さい印象を受けます。装着感も良く、重量もとても軽く感じます。第一印象としては「おもちゃのように軽い」でした。

なお、製品版ではデザイン面での仕様が一部異なることが明らかとなっています。主にデバイスのヘッドバンドに改良が施され、開発者版よりも頑丈な、装着感が向上したデバイスになると見込まれます。

参考記事:
Acer、MRヘッドセットの製品版、ヘッドバンドなどデザイン改良

スペック

スペックは以下のとおりです。

ディスプレイ

対角 2.89 inch 液晶 1440 x 1440(x 2枚)

リフレッシュレート

90 Hz / 60 Hz

視野角

95°

トラッキング方式

インサイドアウト(外部センサ不要)

ケーブル

シングルケーブル(HDMI 2.0 + USB 3.0) 4.0 m

オーディオ

3.5 mmジャック(出力 + マイク)

重量

350 g

他のメーカーの製品も重量を除き、同じスペックになっています。また、参考までに重量はHTC VIVEは最新版が約470g(初期モデルは約550g)、Oculus Riftも同様に約470g となっています。

また、必要なPCのスペックは「Windows Mixed Reality minimum PC hardware compatibility guidelines」から確認できます。ここで、PCが必要スペックを満たしているかチェックするアプリもダウンロードできます。私の環境では以下のようになりました。


OSのみ10/17リリース予定の「Windows 10 Fall Creators Update」が未インストールのため、要件を満たせていない表示になります。ここで満たせていない場合でもアプリを動かすことは可能です。


セットアップ

ケーブルをPCに接続すると自動でセットアップが始まります。まずはPCのスペックのチェックが行われます。

どのデバイスを接続したかは自動で認識されるようで、各部位の説明が表示されます。

次に身長の入力を行い、フロアの位置の検出を行います。

最後に、安全なエリアをVR内に描画するための設定を行います。目の位置にHMDを保持してフロアを検出した後、安全なエリアをグルっと回って記録します。動ける範囲が小さすぎると設定が通らないので、十分なエリアを確保することが必要です。私は何度か失敗しました。


終了後は後述する複合現実ポータルへと移動します。ここで行わなかった設定は、Windowsの設定画面に「複合現実」という項目が追加されているので、ここから変更可能で、 オーディオ機器や瞳孔間距離(IPD)の設定が行えます。

セットアップ時に起きやすいトラブルについては「Immersive headset support(英語サイト)」にまとめられているので参考になると思います。


複合現実ポータル

セットアップが終わると「複合現実ポータル」が立ち上がります。ここでは、UWPアプリのウィンドウを壁や空間の好きな位置に配置したり、HoloLensを触ったことのある人にはおなじみのHologramsの様に、空間に3Dオブジェクトを出して配置したりといったことが出来ます。元から設置されているいくつかのオブジェクトも自由に動かせます。

操作はマウスとキーボードの組み合わせに加え、Xbox Oneのコントローラでも可能です。キーボードのWindowsキーまたはXbox Oneコントローラのガイドボタンを押すとスタートメニューが現れ、立ち上げたいアプリを選択できます。移動方法はスティックでの移動に加え、右クリックまたはYキーでのワープ移動(マウススクロールまたは左スティックでのワープ後方向調整付き)がサポートされており、家の様々な場所にサクサク移動できます。

複合現実ポータル

https://www.youtube.com/watch?v=lkSetyz2bS8

Holograms

https://www.youtube.com/watch?v=znxgW0Hx4Mo

動画のように、UWPアプリに加えデスクトップの画面を出すことも出来るので、Edgeを立ち上げて参考資料を周りに並べながら作業する、といったことも可能です。マウスカーソルは自分を取り囲むように360度動き、ウィンドウの上にある時はウィンドウの操作を、ウィンドウの上部を掴むとウィンドウ自身の移動となって自由に配置でき、これはかなり便利だなと感じました。MRヘッドセット用のコントローラが登場した後の操作も気になるところです。

また、HoloTourのように完全に別の世界へと入るアプリもあります。立ち上げると部屋はフェードアウトし、それぞれのアプリの世界を楽しむ形になります。実行中はいつでも元の部屋に戻ってくることが出来ます。

HoloTour

https://www.youtube.com/watch?v=uKk4dQRg6G0


開発

実行までは現在のWindows 10でも可能ですが、開発を行いたい場合は、Windows 10 Fall Creators UpdateのリリースまではWindows Insider Previewビルドを利用することになります。

https://www.microsoft.com/en-us/software-download/windowsinsiderpreviewSDK

開発はHoloLens同様、Unityを利用するととても簡単です。従来のVRアプリの開発同様、シーンを作成した後、Virtual Reality Supportedにチェックを入れ実行ボタンを押すとヘッドセットのトラッキング情報がゲームに反映されるようになり、その様子をヘッドセット内でリアルタイムに確認できるようになります。また、ビルドして実行すれば複合現実ポータルのスタートメニューに登録されます。


今後の期待や課題

センサ不要で軽いのは他のヘッドセットに比べてかなり大きな強みに感じます。開発者視点としても、出先でデモしたい際にセンサのセットアップ不要で位置トラッキングを使えるのはとてもありがたいですし、コントローラも登場すれば出来ることの幅も他のヘッドセット相当になりそうです。

また先日、バックパック型PCとの組み合わせを体験をさせてもらう機会があったのですが、セットアップ不要でトラッキングが外れることもなく延々とどこまでも歩き回れるのは中々に衝撃的でした。HoloLensとは異なり周囲の環境がわからないので今のままでは危ないですが、特別な設備を用意することなく歩き回れるゲームを個人でも簡単に作れる可能性を感じることが出来ました。

一方で、利用できない機能があることによる制限を受けるUWPで開発しないとならない点や、HoloLensとは異なりスタンドアロン型ではないので、家での利用を考えると仕組み上コントローラを含むトラッキングの性能がOculus RiftやHTC VIVEよりも弱い面などは悩ましく感じます。加えて初期段階ではユーザ数が他のヘッドセットと比べて少ない点を気にする開発者もいるかもしれません。

ただ、上述のようにユースケースによってはとても強力ですし、導入のハードルの低さによる普及、そして今後のデバイスやSDKのアップデートに注目していきたいです。

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